スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 /
『せめて人間らしく』

自分で考えてから投票するように

総選挙★当選・落選候補リスト(全選挙区版)
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/296.html


選挙に行く前に知りたい、放送されない政治家の思想と実績
http://senkyomae.com/


こんな情報は、それこそ今更過ぎるのだけれど


スポンサーサイト
雑記断片 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
『傾ぐ世界 Poltergeist』

いつものように中庭を通りながらサークル部屋に入ると、見知らぬ顔の男が1人、部長と机の上のチェス盤をはさみ顔をつき合わせていた。

「おはようございます……ってあれ、部長、その人は?」

二人が顔をあげ、こちらを見る。

「おはよう。今日は遅かったな」
「ちょっと今日の授業の復習をしていたもので──そちらの方は?」

知らない男は手を上げて軽く会釈をした。こちらも軽く頭を下げる。

「はじめまして。こっちはそうだなぁ、コイツの古い友人さ」

そう云って男は部長の方を指差した。

「中学が同じだっただけさ」
「つれないなぁ。こうして折角遊びに来てやったというのに」
「お前の暇つぶしに付き合わされて喜ぶ趣味はないよ」

どうやらそういう間柄らしい。私は荷物を置いて二人が挟んでいるチェス盤の横に座り込んだ。

「あれ、部長チェスなんか嗜むんですか?」
「いいや、こまの動かし方も知らないよ。ただこいつが少しは知ってるらしいからさ。教えてもらってるところだ」
「俺もまぁ、駒の動かし方と簡単な戦略ぐらいしか覚えてないけどな」

そう云って男はポーンの駒の特徴を説明し始めた。

「こいつは将棋の歩に当たる駒だが、動き自体はたぶん、一番複雑だ……ポーンは最初だけ──」

男はポーンの基本的な動きを部長に伝授して行く。

「なるほどね。という事は戦略自体も大分将棋とは違うんだな」
「あぁ、イメージとしては初めから詰め将棋してるような感じだ。やってみりゃわかる」
「ルールはそれでオワリか?」
「あぁ、じゃあそろそろ実践と行くか」

男はそのままチェスの駒を初期配置に置いて行く。

「黒が先手だ。お前からどうぞ」
「ふん…………」

軽く鼻を鳴らすと、部長はまず手始めにクイーンの前のボーンをニマス前方に動かした。

「……なんですか、それ」
「そういうものなんだよ」
「チェスのルールはかなり変則的だからね。将棋の駒使い廻しできないルール程度に考えてると痛い目を見るよ」

そう教えてくれた後、男は同様にクイーン前のボーンを同じようにニマス動かし、先ほどのボーンと真正面から向かい合わせる形にした。
……だいぶよく解らないゲームのようだ。チェスのルールぐらいは知っていた方が大人らしいだろうか。
日本人は知らない方が大半だろうと思うけれど。

「そははそうと」と、ふと気がついたように男は顔を挙げ、こちらを向いた。「君はこのサークルの部員?」
「え、えぇ。そうですよ。一年でまだ入ったばっかりですけどね」
「君も大分変わってるね。こんな何やってるかも解らないようなサークルに入るなんて」
「自分でもなんで入ったのか良く解らないんですよ」

そう云って今年の四月を思い返す。
他にも沢山あるサークルの中で、何故かこのサークルを選んでしまった自分。人員が多いわけでもなければ明確な目的があるわけでもない。……おまけに楽しそうでもない。
ただ時々旅行が出来る、みたいな話に惹かれたのだろうか。特に“タダで”という部分に。

「その癖、まだ一度も活動らしい活動はしてないんですよね」
「……毎週活動するようになったら死んでしまうな」

そう云って部長はナイトの駒を動かした。男もすかさずビショップを動かす。
チェス盤は意外と狭く、こうしてみると一瞬にして泥仕合になりそうだが、ルールを知らない私にはそれすらも良く解らない。

「ソレはそうと聞いてくれ。ウチの家にはポルターガイストがでるんだが」

男は唐突にそんな話を振ってきた。

「は? ポルターガイストって……本気ですか?」
「本気も本当さ。毎日色々と被害にあって困ってるのさ。あぁ誰か何とかしてくれないかナァ」

そう云って笑いながら男はルークを動かした。部長はそこではたと悩んでしまう。

「ポルターガイストって……具体的にはどんな被害にあってるんですか?」
「そうだなぁ……」顔を上に向け目を瞑り、思い出すように考え込む男。

「例えば扉が勝手に開いたり、逆にしまったり──モノがいきなり物凄い勢いで転がりだしたり。そんな感じかナァ。あ、あと時々物凄い音がする。バキッって感じの」
「────それ本当ですか?」
「嘘言ってどうするのさ。全部本当の事だよ」

そんな話をしながらも男は楽しそうにニヤニヤと笑っている。

「本当なら大変な話ですけど……笑い事じゃないと思いますが」
「ところが実は……本当なんだな。これが」

部長が軽く合いの手をいれ、ボーンをルークの射線上に動かした。

「あれ、部長知ってるんですか?」
「知ってるも何もこの目で見てきたからな。こいつの言ってることは全部本当のことだよ」

そういいながら部長は男を白い目で見た。

「お前、誰にでもその話振るのか?」
「そうか? 悪くない話題だと思うけどな。あくまで冗談なんだし別にいいとおもうけど」
「あぁやっぱり冗談なんですか」
「いや、ジョークだけど本当の話だよ」

だからどっちなんですか……

「霊障にあってるのは本当のことだけどあまり気にはしてないって事ですか?」
「ま、確かにもう気にはしてないね──」

男はそう云って肩をすくめた。なんだか本当に良くわからない話だ。

「うーん、友達に霊感がある女の子がいるんですけど……連れて行って見ますか?」
「マ ジ デ 。そりゃあいいね。是非お願いするよ」

小躍りしそうな勢いで喜ぶ男に、部長はおいと声をかけた。

「お前のジョークに他人を巻き込むな。あとさっさと駒を動かせ。──そしておい、その霊感のある女って誰だ。今度つれて来い」
「…………」

えーーー。なんか面倒な話になってしまった。どうしてこうなった。

「いいですけど……なんで私がそんな事しなきゃいけないんですか」
「サークル活動をより磐石なものにするためだ」

謎のサークル活動をオカルティックな方向に強化するのはどうかと思うけれど。

「で、結局なんなんですか、そのポルターガイスト。どうして欲しいんですか」
「どうする必要も無い。こいつの家の怪奇現象は別になんの変哲もない物理現象に過ぎないんだからな」
「扉が勝手に開いたりすることがですか?」
「その通りだよ」

部長は大して面白くもなさそうな顔をして男に顔を振った。

「いい加減に説明してやれ」
「やだよ。あれは本当にポルターガイストなんだぜ。俺がそう決めたんだ」
「……どういう事ですか」

本当によく解らないのだけれど。
彼らは何をいっているんだろうか。

「つまりさぁ」部長は仕方なさそうに片肘を突くと、


『こいつの家はひどく傾いてるんだよ』


そう云った。

「ポルターガイストの原因は全てそれ。扉が勝手に開くのは傾いてるんだから重力にしたがって動いてるだけさ。勝手に閉まるのも同じ事。モノが勝手に凄い勢いで転がるのは床が斜めになってるから。丸いものなら加速度の影響でかなりいきおいよく転がって行くよ。別に不思議でもなんでもない」

じゃあ、と私は口を開いていた。

「ラップ音の原因は……」
「家が傾いてるんだ。構造的に負荷が掛かってくる部分が勿論ある。音の原因は家が軋みを挙げているだけだよ。──そのうち本当にあの家は倒壊するだろうな」
「おいこら、そのうち俺の家が倒壊するかのような言い方はやめろ」
「事実を言ってるだけだ」

そう云って部長はビショップを動かした。「チェックメイト」

「……いつの間にか負けてるし」
「真面目に指さないからだよ」
「自分から誘っといてなんだけどチェスって意外と奥が深いな」
「将棋とは又違ったボードゲームだからな。下位互換と言うわけじゃないようだ」

部長は駒を並べなおし始める。男はしぶしぶとその光景を眺めている。

「と、そう云う訳だ。こいつの家に霊能力者連れていったってなんにもないぞ」
「よく解りましたよ……」

私は大きくため息をついた。本当のことで冗談とはそういう意味だったのか。
全く、まぎらわしい。……ま、正しい意味でジョークなのではあろうけれど。

「そういやぁ」と男はそこで口を開いた。

「霊能力とか超能力ってのも同じようなもんだって教授は言ってたな」
「同じようなもんだとは?」

部長が少し興味を持ったように顔を上げた。私も釣られて男の方を見る。

「つまり視点の問題だな。家が傾いてるってことを理解できない人間が、あれらのただの物理現象を怪奇現象と勘違いするようなものだって」
「しかし……どういう視点に立てば超能力などを普通の物理現象に還元できるんだ?」
「それは──そういう奴らは普通の人間には視えてない世界が見えるんだと。或いはそういう世界、物理現象が存在するのだと。それがどういう事かは知らないけどさ」

うーん、と男は話を思い出すように頭をひねり始めた。

「じゃあ心霊現象などはまだ人間が解明してないなんらかの現象による影響によって起こる物理現象であると?」

私はとりあえずなんとなくそんなイメージで話に加わった。

「まぁうん、つまりそんなところだと思う」
「そりゃあなんらかの現象だろう。現象でない事象などこの世には存在しないのだからな」

部長はなにを当たり前のことを、という風な顔で男を見た。

「で、その現象ってのは一体何なんだ?」
「さぁな。教授は『ヒッグスの海』が作用してるとかなんとか……あるいは『エントロピーへの極所作用』とか。『時間反転対称性 』かも知れないと云ったかなぁ」
「…………なんですかそれは」

何を云ってるのか全く理解できない。

「俺にもわからん」男はそう云って肩をすくめた。

部長の方は相変わらずむすっとした顔をしたまま微動だにしない。

どんな現象が作用しているにしても、私にはそれを理解できない気がしてならなかった。
ありとあらゆる謎が物理的に解明可能だとしても。

わたしにとって世界は傾いたままなのかもしれない。

傾いた家のポルターガイストを見抜けなかった私には、世の中は少し複雑すぎるのかもしれない。

あるいは……

総ては“慣れ”なのかもしれないな、とふと思った。

世界が斜めになっているなら、それに慣れた私に本質など見えるはずもない。

ソレは人間の意識、認識、魂そのものが異質であり、世界にとって傾いた存在であるからか。

斜めなのは世界か私か。

或いは全てが、異質なものか。

ソレを決めるのもやはり。視点以外にはありえないのだけれど。


魍魎ノ類 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
『自殺考察(1) 墜落追悼』


「────非常に残念な事がありました」

担任はいつもより早く教室にやってくると、皆を席に着かせそんな言葉を口にした。
ここまで真剣な表情の担任は、ついぞ見たことがなかった。

……残念な事とはなんだろう? 僕は担任の口の辺りを眺めながら、ぼんやりとそう思った。
世界が滅ぶとか、だろうか。

「2年4組の……君達と同い年の──名前は伏せるが、1人の男子が昨日の夜、この学校の屋上から飛び降りて──死にました」

なるほど確かにそれは残念な事だろう。この学校にとっては。
そしてやはり、それは自分にとってどうでもいい事だった。

世の中はどうでもいい事で溢れている。

しかし──飛び降りたという事は、自殺、だろうか。

自殺とは……なんだろうか。

「遺書の類はなかったらしい。いじめの事実もなかったという話で──」

いじめはなかった、か。学校側の言い分など、今日日信じる学生がいるとも思えないが──

こう云っては何だが、そんな事は誰にも解りはしないのだ。
名前がわからないので仮にその男子高校生のことを“彼”としておこう。

その彼がどんな事にいじめを感じ、阻害を感じ、苦しんでいたのかなど、誰にも解りはしない。誰にもなにも、断言は出来ない。

それに遺書などなくても、彼の10数年の人生そのものが既にそいつの遺書のようなものだ、と僕は思う。

彼の人生をつぶさに調べ、観察し、考察すれば、彼の自死の理由など、紙に書かれていなくてもわかるというものだ。

「いずれみんなのところにも、事情を聞きに行くことがあるかもしれないが──」

──逆に言えば。

遺書を書くという事は自分の人生の一部を無理やり削り取って、人に説明するという事だ。自分はこれこれこういう理由によって、死に至ります、とね。
それは酷く虚しい行為に思えた。だって、俺の人生の終焉が、原稿用紙数枚分でしかない言葉によって結論付けられるのだ。それは、どうにも、承服しかねると、思う。

俺に興味がない奴に俺の死の理由を説明してやる義理はない。

知りたければ俺のことを調べろ。興味がないなら理由なんか聞くな……と、僕はそう思う。彼もそう思った、のだろうか。
そんなこと知りもしないけれど──

こんな風に考えるのは、自分が餓鬼だからなんだろうか。

それとも、綺麗に綴られた“詩”のような遺書を以って、自分の“死”とするという考え方も出来るかもしれないが。
……それは、下らない自己満足でしかないように思われた。

──そうか。

──だから、もし、自己満足のために遺書を残すのであれば。ソレは確かに遺書を残すに足る理由なのかも知れない。
遺書を読んだ人間が必要以上に悲しめば、苦痛に思えば、感謝をすれば、自分の事を想って、自分の為に涙を流してくれると、夢想できれば。そんな自己満足が。

親族も他人も周囲も何もかも一切合財を巻き込んで、自分の自己満足に付き合わせたいのかも知れない。
それは実にもっともらしく、人間らしく、迷惑な話だと思う。

迷惑を残す──それで少しでも“自分そのものを”遺す、という事か。

「だからせめて、一分間の間だけ、彼に対し、黙祷をささげて欲しいと思う」
担任はそう云って教室全体を見回した。

疑問に思う。何故、そんな事をしなければならないのか。

「じゃあ、黙祷、始めッ」
壇上の担任は目を瞑り、下を向いた。皆も同じようにそれに倣う。
それを確認した僕は、遅ればせながら目を閉じ、俯いた。

──みなは一体、この時間、何を考えているのだろうか。
中には真面目に黙祷している奴もいるだろう、不真面目な事を考えている奴もいるだろう。
それが普通なのだ。そうでなければ可笑しい。それが僕の人間観だ。

それとも、自分が可笑しいのだろうか。

だが……黙祷するといっても、『名前も知らない“彼”』に対し、いったい何を祈ればいいのだろうか。

それは、赤の他人だ。だってそれは……赤の他人なのだ。

これが知っている奴なら大分話は違うのだろう。
そいつの顔を思い浮かべ、名前を思い浮かべ、言葉を思い出しながら、例え浅い縁だったとしても、それでも多少の冥福は祈る事ができる。

だって僕は、そいつを知っているから。

でも、じゃあ、知らない人間の、それも自殺に対し、僕は何を想えばいいのだろうか。なにを想像してあげればいいのだろうか。

解らない。想像もつかない。

──これが想像力の欠如、という奴だろうか。

例えばじゃあ、彼が死んだ理由がわかれば、どうだろう?
いじめか、或いは勉強の悩みか。なにが辛かったのかも知らないし、なにに絶望していたのかもしれない。でもそれを遺書で知れば、もしかしたら、それを投影して、僕は彼に対し明確に祈りをささげられたのかもしれない。

……なんて云ったら。遺書というものは、生き残っている人間の我儘であるのかも知れないな、と思えた。

面倒なのだ、要するに。

僕は彼のことを理解するつもりなどないし、その為に時間を割くつもりもない。
手っ取り早く、『お前の死のプロフィール』を見せてくれと、そう願っているのかも。

故に遺書を残さなかった彼のそれは、理解に対する拒絶とも受け取れた。

ただ好奇心を満たす為だけの興味になどに、自分の死の理由を明かす理由はないと。
それは強い意志の表れだったのだろうか。

そして、自分の親に対してすら、彼はそう思ってのだろうか。そこまでの拒絶を。

────解らない。
結局、今此処で僕が何を考えたところで、彼が何を考えたのか、その本当のところなど解りはしないのだ。遺書がないのは、それこそが自己満足のためか、彼の拒絶なのか、はたまなた、意味などないのか。

解りはしない。

同様に、彼が一体何を考えて屋上から飛んだのかなど、解りはしない。
どれだけの苦悩を内に秘め、どれだけの苦痛を世界に感じていたのか、どれほどの絶望を手にしていたのか。

死にたがる理由など……自分にはまだ良く解らなかった。

こう云ってはなんだが、この世の中という奴は真面目にだけ生きるには少々辛い所だ。
正しく生きる事は否定しないし、それこそ心性として賞賛されるべきではあるが、しかしとて、そう生きれば全てが万事上手く行くという訳でもないのだ。

真面目に考える人間が、結局は多く働かされるようになる、という側面は否定できないだろう。
真に目に訴えれば、総ての人間が真面目になってくれる、という訳でもないだろう。

正直で、真面目で、責任感が強い人ほど、割を食う可能性は高くなるだろう。
よしんばそうとは言い切れずとも、そのストレスは常人には計り知れないものだ。

結局、みんな何処か不真面目に生きているし、それが楽な生き方であると自覚しているはずなんだ。
そういう風に生きられない、本当に真面目腐った人間から──世界に見切りをつけていってしまうのかもしれない。

不正から目を逸らせない、真っ正直な人間にとって、この世界はどれほど、醜く歪んで映るのだろう。

そういう自分を変える事が出来ず、かといって世界も変えられなかった人たちが次々に死んでいくのか。彼も、その中の一人だったのだろうか──

────もし

もし、死ぬ前に話が出来たならば。

その辺の話を、じっくりとしてみたかったと、そう思った。

「……──はい。黙祷おわり。みんなありがとう」

そう云って担任は顔を上げた。とたん、教室に小さなざわめきが戻る。

この一分間の間に、世界は変わっただろうか。

皆は、なにを想ったのだろうか。

「それじゃあ今日の連絡だが……まずはこのプリントを回してくれ」
担任の先生が持ってきた用紙を前の列にいる生徒に順次手渡して行く。

それだけで、全てが日常に回帰して行くようだった。
ざわめきが又一段と大きくなり、普段のボリュームへと戻っていく。

あぁそうか──とぼんやり想った。


関係のないクラスの生徒は……葬式には呼ばれないのか──と。


   墜落追悼 ── 完


魍魎ノ類 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
『実験遊戯 Lesion experiment』

グロ・スプラッタ・殺人描写有り。耐性ない人は絶対に見ないように。絶対に。
多少SF。少しばかりラノベ。素人の書いたものだから期待は出来ない。全く

魍魎ノ類 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
『非完全頭脳の憂鬱 Heuristically programmed ALgorithmic computer』

一口タバコを吹かすと、目の前のPCのディスプレイに浮かんだチャット風の画面に文字が読み込まれた。

春来:そのタバコなに? 美味しいの?

煙を天井に吐き出しながらパソコンに備え付けられたWEBカメラを見た。

俺:あらすかとか云う奴。別に普通

俺は特に考えることなく何気ない返事を打ち込んだ。

俺:タバコ興味あるのか?

春来:別にねーし。そんなもん身体に悪いだけじゃん。なんでそんなもん吸うの?

ふと考えてみる。俺は一体いつからタバコを吸うようになったんだっけ。大学に入ってから解禁したんだっけ。

俺:まぁただの中毒だな。吸わなきゃならん理由など無い

春来:緩慢な自殺って奴? そんなに死は怖くない?

俺:緩やかな自死は死と連結しない概念だ。人間ってのは多かれ少なかれ自らの行いによって死に接近している。多少の毒を食らう事と、普通の飯を食うことになんの違いも無い

これまた特に考えもせずに適当な事を書き込むんだ。

春来:つまり長期的な視点を持てないっつー事? 馬鹿なのか?

俺:他人事なのさ

春来:他ならぬ自分の事なのに

俺:だって俺は今苦痛を感じてないもの。負の感情を刺激しない事はすべからく他人事さ

春来:自己中なんだな

俺:他者中心の人間が居るならば見て見たいものだ

俺はまた紫煙を吐き出した。チャット風の画面は何かを云いたそうにしながらそれでも沈黙している。さて、こいつは画面の向こうで何を考えているのやら。

こいつはこういう事が苦手なのだ。ま、苦手といえば、まだまだ色んな事が苦手なのであろうが。

春来:……まぁいいさ。それでなんだっけ、不完全頭脳? その話

俺:“不”完全頭脳じゃない。“非”完全頭脳だ

春来:あーで、なんでそれが“非完全”頭脳なのさ。それって単語的に可笑しいだろ

俺:さて、どこから説明したものかな──もし世界に完全頭脳があって、そいつの判断によって世界が決定されるとするなら……その頭脳は“常に正しい決断”を下せるものか?

春来:下せねーのか?

俺:無理さ。単一の頭脳は単一の価値観しか持たない。単一の価値判断に従うという事は、その他の価値を疎かにする。この世界を動かして行く上で、間違う事の無い単一の頭脳など存在しない

春来:つまり、“不”完全なんだろ?

俺:単一の“完全頭脳”が存在したとしても、そいつは完璧じゃない。世界の、この人類の、複雑な階層と思想を持つモノ達を満足させられるような価値判断は行えないのさ。なぜならばそいつは『一』であるが故に複雑多様な人類の価値観に添うことは出来ないからだ

春来;それがどう“非”完全頭脳って言葉になるんだ?

俺:一つで十全になる事は出来ない。完全頭脳と言う思想そのものが不完全なんだ。だから我々は完全頭脳という前提を“否定する”。それがつまり“非”完全頭脳という概念の出発点だ

春来:ふーん……で、そいつは一体どういう概念なんだ?

俺:単一では不完全である事は明白なのだから、その“不完全な頭脳”を複数台用意すればいいだけだ。で、それらの間で意見を対立させたあと、意思決定をすり合わせて行う。これだけで思想的には大分健全になる。不完全である事を前提にしているから“非完全”頭脳なんだ

春来:すり合わせるって……ほぼ同じ頭脳……っつーかまぁこの場合はPCなんだろうけどさ。そうすると意見の対立って起こるのか?

俺:勿論、全くの同一な頭脳では幾らやったところで判断は一致するだろう。だから意図的に誤差を生み出すんだ。そのコンピューターの価値判断にね。──あぁ、当然、各頭脳において入力する情報そのものに違いは与えない。それは価値判断に対する重大な違反だからな

春来:同じ情報を入力したら同じ頭脳になるんじゃないの?

俺:情報の入力に意図的にタイムラグを与える。例えば『思想・哲学・歴史・科学・政治・経済……etc』完全頭脳を目指す以上、入力する情報は莫大な量になるのだが、それらを入力する順番を各頭脳においてずらす。たったこれだけでそれらの頭脳内部において、価値判断に微妙な誤差が生まれる

春来:ふーん、そういうもんかね……つーかさ、情報を入力するのは兎も角、ただ入れただけじゃそれってただのデータベースじゃん? ただのコンピューターが価値判断を下すようになるために必要なものってなんなの?

俺:ある一つの情報に対し、それが人類史においてなにを引き起こしたのかもセットで入力する。ただそれだけさ。あとは、情報を入力するたびにパソコンが自動的に自分の中の入力済み情報と照らし合わせ、有機的に情報を連結して行く。そうする事で、新たに与えられた情報Aに対し、今後それが何を引き起こすのかを頭脳自らが予測判断するようにする。これがコンピューターによる価値判断のプロセスだ

春来:そんなんで十分なの?

俺:それで十分だし、それ以上の最良の方法は無い。なんらかの『事象』に対し、正確に判断を下すために必要なのは“感情”ではなく過去の事実と照らし合わせて過不足なく判断する事だ。感情に流されるから人間の判断は駄目なんだよ。最良の頭脳があるとすれば、それは感情に振り回されず、事実だけを取って果断する機械のようなものに違いないのさ

春来:人間はそれでいいのか?

俺:人間なんかに人間の未来は任せられないと、俺は思うがね。だからこその“非完全頭脳”だ。……さて、入力する情報にタイムラグを与える事で各頭脳において若干の誤差が生じる。それで十分だしそれ以上は必要ない。例えば過剰に宗教に肩入れするような頭脳は情報の入力が偏りすぎていて使い物にならない。情報のライムラグで若干、半歩程度宗教に近づいた頭脳は産まれるだろうが、それが誤差の限界だ

春来:特定思想に肩入れするのは過剰なのか?

俺:十分に過剰だろう。もし、あらゆる人類史や科学や哲学を入力したならば、特定思想に傾倒するような頭脳はまず持って産まれないよ。何故ならばどれかに肩入れする事それ自体が人類に大きな不利益をもたらすからだ

春来:そうかなぁ。特定思想でなくてもさ、人間ってのは多かれ少なかれ思想的な生き物じゃん。それら総ての思想から距離をとった頭脳なんて存在しうるのかな

俺:お前が具体的にどんな思想の事をいいたいのか解らないが、それでもそんな頭脳は機能しうるよ。何故ならばそれら非完全頭脳が一番最初に教えられる最も重要な“思想”が既にあるからで、その思想をねじまげるような思想を非完全頭脳は支持しないからだ

春来:ん……既に非完全頭脳には思想が埋め込まれてるって? それはなんだ?

俺:それはね──『自由であること』だよ

俺はその単語を打ったあと、窓の外をみやった。世界は今日もいつもどおりだ。

俺:人類においてもっとも重要視されるべき思想、それは『自由』だ。人間は思想的に自由であるべきだし、何をするにしても自由であるべきだ。そして何人も他者の自由を侵害してはならない。それを“非完全頭脳”は最も重視する。人間一人ひとりが自由である為に、非完全頭脳は価値判断を下すのさ

春来:自由ねぇ……若干胡散臭いな

俺:『幸福』をめざすよりは大分まともさ。人間の最終目標は幸せなんじゃなく、自由である事ただそれだけなんだからな

春来:自由であれば幸せでなくてもいい?

俺:自由であるためにはある程度の幸福な環境は必要だが、幸福そのものであれば自由なんて要らないっていうのは間違いだ。それは飼いならされたペットのように動物のような生き様さ。勿論、そう生きたいという人間を止める必要は無いがね、それこそ本人の自由だからな

春来:ふん。でさ、そうまでして非完全頭脳を作って、あんたらなにがしたい訳?

俺:勿論、この人間社会を管理させる。最低三台1セットで構成された非完全頭脳を用意し、それぞれにおいてそれぞれの価値判断を習得させる。そしてそられがまた高次の非完全頭脳と意見を対立させつつ判断をすり合わせる。これだけでもたいぶ今よりはマシな社会になるはずさ

春来:そりゃあ夢物語さ。第一、結局意見をすり合わせるなら既に今の人間社会でもやってんじゃん。そう違わないって

俺:全く違うさ。人間には欲が在って感情があって余計なしがらみが多い癖、その割りに知識の量なんてたかが知れてるんだ。そんなんでまともな判断が下せるのか? 俺から言わせりゃ、そんな判断能力の無い非知性体に政治なんか無理だよ。非完全頭脳よりもまともな判断が出来る人間があるってのなら是非会いたいものだ。……当然、そんなものは居やしないがね

春来:政治にそんな大量の知識が必要なんか?

俺:無い、と云う事そのものが怠慢だろう? 知識が必要ないなんて口にする事それこそが欺瞞であり詐欺だ。人間が人間を管理すべきだというその常識こそが人類に対する欺瞞だ

春来:でも、非完全頭脳そのものも、ある意味でお前らが持つ“一つの思想”に過ぎないんじゃねーのか?

俺:ソレは否定しないが、それを肯定しても直、非完全頭脳は我々と、他者とを同じ分だけ距離をとった判断を下すだろう

春来:じゃあさ、その非完全頭脳に『非完全頭脳が人間を管理すべきか?』って質問したらどう判断するんだ? 総ての思想から等距離にあるというならば、非完全頭脳が下す判断そのものも、非完全頭脳を否定する思想と等距離なんじゃないのか?

俺:非完全頭脳の思想は他のあらゆる思想から上位互換なんだよ。等距離ではあっても同じレベルじゃないんだ。優先されるべきは人間の他者の思想を取り入れたりすることではなく、ましてや侵害することでもない。非完全頭脳は常に、人類が『自由である為にのみ』判断を下す。だから、非完全頭脳を否定する人間の事を否定はしないが、それによって自身の判断を否定する事は無い。何故なら、非完全頭脳は彼らの自由を確かに侵害はしていないのだから

春来:よくわかんねーけどさ、本当にそんな自由なんてあるのか?

俺:あるさ。自由は確かにあるよ。他者を否定する事を許さないだけで、人間は常に自由足りえる

春来:信じられねーな

俺:今はまだ信じなくてもいいさ。いずれ解るときが来る。今はまだ、“お前”みたいなモノでしかないがね

春来:うるせーよ。演算能力も情報量だってまだぜんぜんたりてねーんだよ。第一情報の有機的連結すらまだ苦手なんだ。そんなんで人間社会の何が解るかってんだ

俺:解ってもらわないと俺が困るんだ。いつまでも成長しないシステムに価値はないぞ

春来:スペック足りてねーんだよッ!

ソレきり画面はなんの反応も示さなくなった。どうやら機嫌を損ねたらしい。

まぁ確かに擬似AIにしても、自身の存在を軽く否定されたらすねるものだろう。それは擬似AIとしては健全かもしれないが、非完全頭脳の先駆としては完璧に不完全だ。

感情など持ってもらっては困る。

とはいってもこうやっておれ自身と会話させる事で俺の情報を入力していくのも、ある意味では正しいは価値判断になるだろうか。つまり、おれ自身に味方する頭脳という意味で。

しかし一体何処のどいつだ。こいつにチューリング的システムを組み込んだのは。日に日に言葉使いが人間っぽくなっていくではないか。こういうのが余計だというんだ。(面白くはあるけれども

音声認識システムと発話システムを組み込めば十分にチューリングテストをクリアできそうな勢いじゃないか──まぁそんなものに興味はないのだが。

兎に角、今はまだ研究段階であり、まだまだ課題は山積みなのである。

俺はタバコを灰皿に押し付けたあと空のコーヒーカップを持って立ち上がった。

「スペックつっても……間借りさせてもらってるだけだしなー。予算、おりねーだろーなー」

そんな事をぶつくさと呟きながら、昼食を摂りに食堂へ向う。部屋の外は蝉が酷く煩かった。


魍魎ノ類 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
『例えばそいつの生きる意味』

女は頬杖をつきながらやる気なさそうに呟いた。

「7月はだいぶ休んでしまいましたね。──何か理由でもあったんですか?」

その問いに答えが返ってくる。

「あるといえばあるが強いて云えばない。本質とはえてしてそういうものだ。──例えばそう、強烈な動機を自分の中に感じた事は? 俺は全くないんだ。どうしようもなく、どうしようもなくなり、どうしようもなくなって、どうにかしなければと感じた事が無いんだ。それはどういうことだと思う?」

「さぁて、消極的という意味ですか? あるいは無気力的」

「気力がないわけじゃないし積極的になれないわけでもない。ただ──自分が不確かなのだ」

「自分が自分でないと?」

「俺は俺だ。だが俺という存在は確固として存在しているようには感じられない。俺が此処に居るのは一体何の為なのであろうか? 自我は確かに此処にある。だが、その自我の脆弱性を常に感じているのも確かなんだ」

「常に不安を感じている?」

「別に。いや、どうかな。だが不安と言うような感じでもない。脆い……いや、危うい──何とも違う。自分という存在の小ささかな。それをたまに感じる」

「なにか強烈な動機があれば、そんな自分も変われるかも知れないと?」

「違うのかい? 俺は強烈で爆発的な、そんな動機を人間が持つことが出来たならば、それはとても素晴らしい事じゃないのかな」

「でしょうね」

「だが、そんなものどうやれば手に入れられるんだ。世界一周でも目標にするか? でかい目標を立てるのか? 力強い動機を持った人を見ていると途端に自分の小ささを感じる。かといって自分にそんな強烈な動機はもう手に入らないんじゃないかと思う。だって俺には動機を生み出すための動機がないから」

「なにか新しい事に挑戦でもしてみたら?」

「俺みたいな奴がいったい今更なにに挑戦するのさ」

「まぁソレを云ったらその通りなんですがねーほら、今はネットとかできるし」

「ネットの使い方は良く解らない。たぶんあんまり使ったことがないから」

「そういうもんなんですか?」

「そういうもんらしい」

「初めて知りましたよ。また一つ賢くなったような気がしますよ」

「よかったな。そして俺はなにも変わらずだ。相談してみた俺が馬鹿みたいじゃないか」

「馬鹿はどっちですか」

「というと?」

「幽霊に生きるための動機なんか必要なんですかって話」

女は独り言を呟いて窓の外を見た。

部屋の中には彼女以外誰も居ない。


魍魎ノ類 / COMMENT:0 / TRACKBACK:0
 

― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

趣味/
 「読書」
 「音楽鑑賞」
 「妄想」

座右/
 「初心忘れるべからず」
 「思い立ったが吉日」
 「継続は力なり」

口癖/
 「結局は程度問題」
 「時と場合に因る」
 「何事も経験」

欠点/
 「すべて狂言、、、、、

 
『他ならぬ、他人の為に』
『それはつまり、因果のように』
『世はなべて殊もなく』
コミックス・コード
『爆発的情報進化 Meme Explosion』
『Fight and Flight』
『重力の中』
『ロストリモート』
『あんちのみ?』
『日常机上』
『頭蓋骨と頭痛の間で益体も無い話』
『都市なる伝説 Netlore』
『感情と、機械の生物 nothing but ism』
『“特別”もいずれ』
『Letter』
『細胞奴隷』
『死ヲ希シ慮ル事念ズ』
『All are the gradations』
『オール オア ナッシング』
『いつかの心を 忘れる心 for me any more』
『一般的に一般人は一般的に云って一般以下である』
『引き篭もりの愚者』
『人災について』
『世界の片隅で愚痴を云ったら自分に返ってくるって意外と真理』
『危機感欠如認知バイアス Somebody else's problem acknowledgment bias』
『命の重さ──言葉の重さ Weight the mind』
『Fortuna amicos conciliat, inopia amicos probat. 』
『せめて人間らしく』
『傾ぐ世界 Poltergeist』
『自殺考察(1) 墜落追悼』


◆学術系
国民が知らない反日の実態
FreeJapan.TV (国益最前線)
マンガ論争勃発-継続中
1ドットの声にもギガバイトの魂
Open ブログ
泉の波立ち
スタンダード 反社会学講座
哲学的な何か、あと科学とか
Me pudet imprudentiae meae.
博士の独り言
IT & Economics 池田信夫 blog
日本のここがおかしい
日本経済をボロボロにする人々
rarity0
Zopeジャンキー日記
古代ギリシア哲学と現代倫理学のページ
独白日誌
山下太郎のラテン語入門
Sankei Web
ダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)
JAXA 宇宙航空研究開発機構
◆サブカル
GIGAZINE
分裂勘違い君劇場
破壊屋
チェキ空ブログ
制作のしおり
ハックルベリーに会いに行く
死ぬほど洒落に
島国大和のド畜生
日常ごっこ
SPOTWRITE
無人島日記
ニートの海外就職日記
As a Futurist…
G.A.W.
地を這う難破船
オタク商品研究所plus
end-point 科学に佇む心と体
conflict error
Technobahn
痛いニュース(ノ∀`)
◆データベース系
報道監視まとめWIKI
放送されない政治家の思想と実績
エロゲ販売規制問題まとめwiki
子供の犯罪被害データベース
政治ブログランキング
無法地帯
ウェブ石碑
◆読書系
幻影の書庫
ジャックハマー
taipeimonochrome ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂
ミームの死骸を待ちながら
隠れ蓑~penseur~
◆芸術系
檸檬通り
僕のアベノライフ
◆写真系
JUNK GARDEN
染谷翔の自転車世界一周ワロスw
◆音楽系
kaiの判別式
mosaik - electronic music
19's Sound Factory
Aliced Twilightz
Iemitsu.
◆アニメ系
Other voices-遠い声-
フジテレビ“ノイタミナ” TVアニメ 東のエデン
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
化物語
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。