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『一般的に一般人は一般的に云って一般以下である』

「俺自身も愚かであるに違いはないのだがな」

「あぁ、一応自分の事も愚かだとは思っているのですね」

「全く正しいとは思えないからな。愚かだとは思うよ。その意味でいえば、やっぱり人間は人それぞれ誰もが愚かしく生きているものさ。別段、誰かがどうとかそういう問題じゃなく、正真正銘“聖人君主”のように生きることはどんな人間にも出来ないのさ」

「それはどうしようもなく?」

「それこそどうしようもなく」

「どうすればいいんでしょうかねぇ」

「どうもこうも、誰もが自分の行いを愚かしく思えれば、それでいいと、おれは思っているんだがね」

「それってなんか不健全じゃありません?」

「健全にして不健全。必要なのは能天気に生きることではなく、常に内省する事だろう。少なくとも、省みることなく世界を生きるということは間違いなく“愚かな事”さ。そうだろう?」

「不健全な思考こそが健全であると? それって矛盾的じゃありません?」

「メタレヴェルで言うならば、それは全く正しい見解さ。勿論、不健全が健全と言ってもその思考が社会に不善を成すというのならばそれはそれで問題ではあるのだが……」

「あるのだが?」

「不健全である事を“自覚し”かつ、“社会に適応すること”が『健全』であるという事なのだ。不健全であるところの思考をむやみやたらに行動として発露させるのは不適合さ……。というか、そんぐらい説明しなくてもいい加減分かるよな? って話なんだが」

「普通の人はあたなの言葉を聴いてもなんだかよく解らないのでは?」

「回りくどいのかなぁ? それとも説明の構造になにか不具合でもあるのかね」

「さぁ、聞いてみればいかがです? どこの誰かは知りませんが」

「そもそも俺が読者対象に選んでいる一般人というそれこそが幻想的ではあるんだがね」

「というと?」

「一般人というのは要するに『一般的に言って一般的な事象に対し一般的に無知である人々』のような意味合いで言っているのだが、要するにそんな人間なんていうのは存在しないという事かな。って事さ」

「また低く見られてますね、一般人」

「一般人という言葉を高い意味で利用している文章を俺はついぞ読んだことがないね。要するにそれが一般人の一般的なイメージさ。それが普通というイメージだ」

「普通の人は無知なんですか?」

「どのような場合においても、一般的であるという事は、専門家からすれば無知という事だ。“あらゆる意味で専門的ではない人々”が『一般的』なのさ」

「一般常識ってじゃあどういう扱いなんですか?」

「さほど専門的ではない学術レヴェルか、日常的な知識程度の意味だろうな。どの道、さて、“死”について考えた事がない人間がどれだけ居ると思う?」

「さぁ、大抵の人は考えた事はあると思いますが」

「その通りさ。多かれ少なかれ、それが正しかろうが間違っていようが、兎も角、“死”について一定以下の見解を持たない人というモノはそう居ないだろう。だが、はて、俺には“一般人という奴ら”が誰もが“死”について精通しているというビジョンが見えてこない。何故だろうな?」

「それは一般人が一般的に言って無知だから、じゃないですか?」

「そうじゃない。それが結局は、全くナンセンスだからだ。一般人は言うほど何も考えてない訳じゃないが、しかし、正しい事を知っているわけじゃない、という事さ」

「あなたは他の、普通の、一般的な、普遍的な人々の頭の中を覗いたことがあるんですか?」

「ないな」

「じゃあどうしてそんな事がいえるんです?」

「それはもう経験則でしかないがね。普通に言って、常識的に考えて、世の中って奴は大分真実とはずれていて、往々にして、間違っているものさ。──それもま、あくまでも経験則さ」

「イメージで一般人を語っているんですね」

「否定はしない。だがそれが結局のところ、俺が対象とする“一般人という名の読者”に合致した存在であるとも、思っているよ」

「露骨に普通の人々を馬鹿にしていますね」

「一般人なんてのは幻想さ。そんな夢のような、空想上の阿呆を馬鹿にしてしまうのは、ある意味でしょうがないことだと思うがね。でなければ、話が進まない」

「そりゃま、そうでしょうけど……」

「あぁ、小説にしろエッセイにしろなんにしろ、読者対象に訴えかけたい事があるという場合、それは読者を無知的であるという事にしなければならない。それを前提に話しかけるのさ。でなければ、それがなんであれ、対象とする読者を見失う」

「そんなもんですか?」

「あらゆる事に精通している読者なんてものを想定して文章を書く事はできない。それは神様に手品を披露するようなものさ。あまりにも馬鹿馬鹿しくてやってられんね。書き手は相手に対し驚きや主張を提供する。その為に読者は常に一般的に無知である事を想定される。普通のことさ」

「はぁ、まぁ、なるほど。……で、だからなんなんですか?」

「俺が書いたモノは面白いのかどうかって聞いてるんだよ」

「普通にそう聞けや」


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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

趣味/
 「読書」
 「音楽鑑賞」
 「妄想」

座右/
 「初心忘れるべからず」
 「思い立ったが吉日」
 「継続は力なり」

口癖/
 「結局は程度問題」
 「時と場合に因る」
 「何事も経験」

欠点/
 「すべて狂言、、、、、

 
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『それはつまり、因果のように』
『世はなべて殊もなく』
コミックス・コード
『爆発的情報進化 Meme Explosion』
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『重力の中』
『ロストリモート』
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