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『矛盾する螺旋』

劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋 【完全生産限定版】 [DVD]劇場版 「空の境界」 矛盾螺旋 【完全生産限定版】 [DVD]
(2009/01/28)
鈴村健一坂本真綾

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「とりあえずカテゴリとして登録してある以上、なんらかのレビューを行わない事にはお話として成立しないと思ったので今回はコレについて騙ろう」

「漢字間違ってますよ。……まぁ貴方の場合、大体あってる気もしますけど」

「その通り。それはそうと当ブログは万人に解り易くレビューするようなサイトでではない。というか、そんな気はさらさら無い。もう既に誰も彼もがこの作品を正しく評価して、まさしく語るべき言葉で持ってこれを正当にレビューしているであろうと“思っているから”だ」

「じゃああなたがこれを語る理由ってなんですか……」

「そうだな、しいて言えば俺がコレを語ることに意味は無い。所詮全てが電子の藻屑だ。俺の言葉には10個分の電子の価値も無い。ネットってのは広大無辺だからこそ、その中の99.9999%は無意味だ」

「全世界で600人ぐらいの人間の言葉にしか価値が無い計算になりますが……」

「まぁどうでもいいな。この辺の話は」

「じゃあすぐにでもレビューしてくださいよ……」

「まぁそう呆れるな。自分の無価値を理解する事は悪い事じゃない……さて、この作品。今までの劇場版・空の境界と比べると明らかに長さが違う。まさしく、劇場版という名前にふさわしい長さだ」

「そういえば今までのはそんなに長くなかったんですよね」

「ま、今までのもそうだが、今回映像化された章は原作でも前編後編に分かれているぐらい長い話なんだ。もともとこれを映画一本分に出来るかどうかも個人的には疑問といえば疑問だったんだが、これはいい意味でちゃんと映像化してたな」

「へーそうなんですか」

「とはいっても、勿論色んな部分をはしょっている。この辺は原作未読の人間には関係ない話といえば関係ないんだが……そもそも原作を知らないときついアニメであるのも事実か。元々この作品は時系列を弄くってある作品ではあるんだが、この矛盾螺旋では更に時系列をごちゃごちゃにしているんだ。一回視ただけで全て理解できるのは間違いなく原作を知っている人間以外ありえない」

「ま、初めから原作読んで全て知ってるから映像見ても全て理解できるのは当たり前なんですが」

「それもそうだな。さて、今回時系列を弄くっている事にもちゃんとした理由がある。……といってもほぼ表現手法としての必要性によるものかナァ。話の流れを別けるとするならば大まかに言って巴の視点である前半、幹也の視点である中篇、式が目覚める後半、といったところか」

「それって効果的な表現だったんですか?」

「個人的には結構面白かった。中篇では意識的に式の姿が入らない構図で話が進められたりな。後半、式が目覚めるシーンはそれまで式の姿が長い間抜け落ちていただけあってなかなか綺麗に演出できたんじゃないかと思う。普通にやってたんじゃたぶん、あそこまでの登場シーンは出来なかったんじゃないかな」

「なるほど」

「劇場版、まぁ映画一本分の長さの中で必要なのは、如何に時間内で話を完結させ、最大限の演出効果を出し、映像を魅せるかと言う事だ。その中でみんなが色々とアイディアを出したりして道を模索していく。映像作品における文法はほぼ決まったモノがあるにしても、結局個別の作品に対しては一つ一つ手探りで探していくしかないのさ」

「まぁその演出が時として観客を置いてけぼりにしたりしてしまうんでしょうけどねぇ」

「まーそれはしょうがないな。なにも製作者側は失笑して欲しくてモノを作っているわけじゃない。だが、予想通りに全てが上手く作れるわけでもない。完成された作品に人々は100%を求めるが、製作する人間にとっての100%ってのがどれほど大変な労力かそれを解ってて求めているのか云われれば、それはありえんだろな」

「ありえませんか」

「創る苦しみを知っている人間はそれ故に完璧を求めない。100%を求めるのは常に、“その道の素人”だ。その意味ぐらい解るだろ?」

「あーソレはそうかもしれませんねぇ……」

「ま、それでも俺だって人間だ。100%とは云わなくても作品に対する批評ぐらいはするさ。まず原作の魅力を100%表現できているかといわれればそれは……まぁ無理なんだけどな。原作が小説である以上、“小説であるメリット”を十分に活かした表現は、映像としては表現しにくい」

「というか、表現手法が全然違う以上、それらは結局“表現できるわけが無い”んですよね」

「そう。文章で書かれた物語と絵で描かれた漫画、映像で見る作品はもはや全然違う表現手法だ。それらはそれぞれに於いて独特のメリットが存在する。小説の魅力を映像で100%伝える事は不可能だ。表現不可能性ではない、“物理的”に無理なんだ」

「物理的なんだ」

「それぐらい大きな、いや、越えられない壁があるということさ。……さて、他には、例えば演出としては正しくても上手くいかなかった部分とかな。燕条母と父が式の前で口論するシーンとか。あれは演出としてなるほど正しいのだが、作画の関係か、あまり上手くはいってなかった表現になる」

「確かにあの部分はちょっと上手くなかったですね……」

「カチカチガチ。ま、細かい点を上げればきりは無い。評価すべき点も評価できない点も、な」

「まーだいたいはそんなもんでしょうねぇ。というか、普通に飽きたんでしょうが」

「最後に、時系列を意図的にごちゃ混ぜにしているこの作品だが、それ故に二回三回と見ることで新たな発見をする事ができる、と思う。例えば、橙子の猫型の使い魔によってアルバがやられそうになるシーン。その前の部分が、“その後の部分”と入れ替わっているのだ。これは多分、一見では気が付かないと思う」

「へー……でもその時系列のいじりにはなんか意味はあるんですか?」

「特に無いな。そもそも気が付かないんだから意味も何も無い。ただのお遊びだ。気が付いた人間がにやりとする程度だな」

「…………ふーん」

「しかしなんというか、戦闘シーンには毎回力が入ってるな。少々やりすぎな気がしないでもないが。マンションの廊下から人形が叩き出されるシーンはちょっと見方を変えるとコントだ」

「酷ッ」

「ま、ソレを補って余りある魅力がこの映像作品にはある。式が目覚めるシーンなど、少し鳥肌が立ったぐらいだ。……荒耶との対決の結末は、それこそ映像を見るか小説を読むかして確かめてもらえればいいと思う」

「なるほど…………ん、あれ? 今日はこれで終わりですか?」

「終わりだけど?なに」

「いや、ほら、オチが無いんで……オチつけないとあなたケチが付くでしょう?」

「確かに落ちがなかったな。よし、じゃあ取って置きのオチを云おう……それは────」

「────それは?」


「アルバ…………魔術師なのに一回も魔術使ってねぇ!!!」


「…………はッ!?」

そんなオチ

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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

趣味/
 「読書」
 「音楽鑑賞」
 「妄想」

座右/
 「初心忘れるべからず」
 「思い立ったが吉日」
 「継続は力なり」

口癖/
 「結局は程度問題」
 「時と場合に因る」
 「何事も経験」

欠点/
 「すべて狂言、、、、、

 
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『それはつまり、因果のように』
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