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『アイロニーへの精神命題 Stand Alone Complex』

「世に遍く多様な思想があろうとも、世界そのものに合致するモノはありはしないのかもな。……この世界における思想のあり方そのものが、理想的なそれと矛盾するんだ」

「はぁ……まぁ世の中というものは複雑なものですから──」

「そういう訳でも無いんだがな……いや、ある意味ではやはりそこに帰結してしまうのか。現実的に在る事と理想的に在ろうとする事は常に相反するものだ。それが重なる瞬間というものは存在しない。よしんば、あるとしてもそれは理想的な見解に過ぎないのだろう。それは現実からの逃避に過ぎない」

「もっと解りやすくお願いします」

「この世界には様々な主義主張思想が存在する。観念イデオロギー世界観哲学、そして宗教が語られる。……何故そんなにも多くの観念が存在するのだと思う?」

「え、うーん、まぁそうですね……。それらはこの長い人類の歴史の中で培われた、或いは育ってしまった、世界に対する観念……でしょうか?」

「そう。それらは良く言えば考察で、悪く言えば妄想だ。それらが現実に完璧に重なり、合致した事は過去一度たりとも在り得ない。当たり前だな、もし完璧な思想体系が過去作られえたならば、今まさにその思想が全世界を覆いつくし、世界を一つの歪み無い構造物に成しているに違いないのだから」

「そうはなっていませんか?」

「成っていない、だろう? 世界をまさに一つの原理によって動いていると説明できるような体系は未だ存在していない。現状でも人類の行動は世界理解とはほど遠いところに在ると言わざるを得ない。戦争も紛争も経済も犯罪も、全てが不完全である事を物語っている。人類は未だに内部衝突を繰り返す細胞群体に過ぎない」

「はぁ……でもそれが普通でしょう?」

「普通という言葉そのものが“思考放棄”であろうよ。それが普通ならば犯罪が起こるのも自動車事故が起こるのもどうしようもないと言い、完璧なる改善を諦めているのと同義だ。それは仕方が無いんじゃない、義務を放棄しただけだ。そうだろう?」

「でもどうしようもないと思いますが」

「どうしようもないというならば耳を塞ぎ、口を噤んで暮らすか? そんな事もあるまいのだろうな。一般人は、普通に生き普通に生活する事で世界を直視しない。魔法の言葉で思考を放棄するのだ。曰く『仕方が無い・それが普通・考えてもしょうがない』。思考放棄主義者とでも云うのだろうかな……」

「酷い云われようですね。少し傷つきました」

「だが、大なり小なり、思考を放棄する事は必要な事だ。というよりも、そう在る事が理想的なのでもある。ただ仕事をこなし、快楽を享受し、それ以外のことに注意を向けず、ただ生きることに没頭できるならば、多分……“それが一番理想的な生き方”なんだ。心から幸福に浸れる一般人こそが人類の中の勝者なのかもしれない。期せずして最高の生を全うできる一般人、思考放棄主義者。──ま、それこそが一般人という幻想なのだろうが、な」

「……なんか今酷い自己完結を見ました」

「思考なんてものは自己完結の連続だろう。それでも言葉にするに値する程度の自己完結であるだけマシだ。……さて、この世には原理主義というものがある。ファンダメンタリズム (Fundamentalism)だ。根本主義や原点主義、原典主義など様々な派生があるが、つまりはそういったものだ。」

「つまりは?」

「要するに、原点回帰だ。一番最初に戻ろうという行為。原典を絶対視する主張。……愚かな話だ。そこにはもはや正しい事などありはしないのに」

「愚か、とまで云いますか」

「嗚呼、愚かしいね。人類の歴史が学習の歴史であるならば、古い学問を信仰する意義はは無い。そこにあるのは残骸だけで、真理などではないのだ。当然だろう?」

「でも、真理なんてものは何処にあるとも知れないわけで……」

「真理は過去どの時代にも存在しなかった。そしてこれからも存在し得ない。そういうものなんだよ。だからこそ、なれば故、古い思想などというものは信仰に値しないんだ。それにすがりつく人間にはそもそも世界などというモノが全く見えちゃいない。盲目にも程がある。世界理解に程遠いそれは無知だ」

「信仰そのものが、盲目的な妄信なのですけどね。でも、それを無知と断じた所で、あなたの言葉は彼らには届きませんよ」

「誰の言葉も届かないところに行こうとしているんだ、彼らは。それが揺らぎ無い信仰というものなのだろう? それが彼らにとっての正義であり、彼らが信ずるところの思想の境地なんだ。それが“思想”というものなんだ」

「なるほど、ね。届かないのが当たり前、なんだ」

「だが、何度も云うがそんなところに真理は無い。世界における理解などというものには成り得ない。思想体系における“原理”などというものに、世界的命題に対する根本的な“正解答”など無いのさ。何かを信仰する事は気持ちのいい事なんだろう、正しいと心の底から思えることなんだろう。でも、それはただの感傷だ。ただのヒーロー願望に過ぎない。孤高の救世主にでもなったつもりか、馬鹿馬鹿しい」

「ばっさりですね」

「思想なんてものに正答はないのさ。考えても見ろよ、その思想を創り出した人間にはいったいどれだけの演算能力があったんだと思う?」

「え、演算能力、ですか?」

「世界そのものをどこまで脳内でシミュレートできたのか、という事さ。世界そのものを観察して世界観というものを紡ぎあげる、それが思想であり観念であり、主義主張となるのだ。でも少し考えればすぐに解る。たった一人で、或いは数人数十人で創り出した思想などというものが、完璧に世界を説明しうる“思考体系”であるはずが無いじゃないか。彼らの脳はどれだけの演算能力を持っていたというのさ。全世界を脳内でシミュレートできる生物など存在しない。ならば、彼らの言葉が“全て正しいはずがない”じゃないか」

「……ああ、まぁ、そうなるのかもしれませんが」

「かもしれない、では無く、その通りだろう。完璧なシミュレーションは不可能だ。世界はこの物理世界以外には在り得ず、故に模倣する事はできても完全再現は出来ない。どんなスパコンを使っても、それは無理なのさ。人間などにはいわずもがな。……という訳で、ある一つの思想なんてものに傾倒する意味は無い。ましてや原点を信奉する意義は無い。そこに少なからず正しい考察が含まれていようとも、それは正答などではない」

「……じゃあ、人間は一体どうすればいいのですか?」

「世界そのものを一つの体系で説明する事は不可能だ。世界は常に、複数の層によって形成されているものだからだ」

「複数の層?ですか?」

「どんなものであれ、単一の構造しか持たないものは脆いものだ。物理世界に限らず、思想世界においても。単一の構造は長期的な安定に近い概念にもなり得るが、揺らぎが少ないシステムは最終的には不安定である。単一構造であるが故に一つの決定的な問題が致命的な崩壊を生む可能性があるからだ。だからこそ、世界は複数の層を形成し、多様な個を産み出し、微細な差異を作り続けるんだ」

「つまり、そうする事で安全装置を形成していると」

「そう。単一であるという事は“繁栄”とは真逆の概念だ。単一となり並列化され、均一化したシステムに繁栄する意味は失われ、ただ終局を待つだけの構造となる。完全になったら向上する意義が失われるのさ。それがどんな思想であれ、それ一つだけで世界を席巻してしまったら、もはや未来は無いんだ」

「そういうものでもないと思いますが」

「直感的ではないのかもしれないな。だがそれは理想的でもないと言い換えることが出来る。理想というものは“単一”の同義語だから、理想的であるということはむしろ終末論的な話なんだ」

「それこそ信じられませんけどね」

「理想的な世界というものはどちらかと言えば揺らぎの無い世界の事だろう。例えそこに揺らぎがあるという観念を含んでいても、それを含んだそれ自体が揺らぎ無い思想となる。変化する事が繁栄へ至る道であるならば、完成された思想などというものは永遠に生まれ得ない」

「あぁ、うん……それはちょっと解るかも」

「要するにさ、単一の思想なんてもので世界を理解できるはずが無いし、ましてやそんなものだけで繁栄する事はできやしないのさ。世界は常に揺らぎ続けるものだし、そう在るべきなんだ。それが世界そのものの複雑さの所以でもある。現実を再現できない思想に意味は無いし、現実に還元できない思想もまた異議が無い。例えそうであっても、現実を完全に捉える事はできない。それがこの人間という限界なんだからな」

「人間の限界、か……」

「そうだ。だから、それを“知った上で”知らなければならない。思想や観念などというものは完璧ではありえないのだと。完全を求める事は無意義だ。そんなものを求めたら余計に世界理解から遠ざかる。神なんかに答えを聞いても意味が無い。神が世界を説明してくれる事は無い。よしんば有ったとしても、“人間がそれを理解できる事は永遠に在り得ない”。それが認識限界なのだからな」

「ならば人間が持つべき思想というものは」


「混沌を含んだ秩序としての揺らぎある思考」


「単一の思想に傾倒する事に意味は無い」


「それは総体としての人類の破滅である」


「自由度の無い構造は一撃で崩壊する」


「故に、必要なのは多様性そのものであり」


「それを理解した上で」


「自己を否定する事だ」


「世界は未完成」


「それが完成形」


「病的なまでの多様性を持って」


「思考を形成しろ。それがこの精神に与えられた、ただ一つの命題だ」

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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

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