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『動物か人間 Animalize Human』

「人間ってのは意外と理性的な生き物じゃない。この殻の制約がある限り、人間はどうあがいても理性だけで生きる事は不可能なんだ」

「不可能……ですか?」

「不可能さ。人間が人間である限り、そこにある限界だ。限界の無いモノなんかこの世界には無いし、よしんば有ったとしてもそれを人間が手にする日は来ない。限界をもつモノが無限界である事は無理な話なんだ」

「どうにも当たり前の話だし、言葉遊びのような気がしないでも無いですけどね」

「それ以上に、人間は理性的なだけでは居られないという話さ。……あぁ、それにしても全く、世の中の薄汚い事よ。俺のような人間にはとてもじゃないが直視できるような世界ではない。あんなものを間近に認識してみろ、即死じゃすまないぞ」

「そりゃま、世界を直視できないなら、そりゃ死ぬしかないんじゃないですか?」

「さぁて、それはどうかな……世界は広すぎて、大き過ぎて、人間の認識では全く処理できるような代物じゃないだろ。その意味では、世界そのものを見ている奴なんか誰もいないし、ましてや直視したところでその視界や認識に収まらない部分が大半だ。氷山の一角という表現すら生温い。“four-nine percent”の視界は人間には視ることも適わない」

「つまり、世界を直視したら死ぬのは本当だけど、そもそも直視できないので意味が無い、んですね」

「よく解ってるじゃないか。まぁどの道、言葉で遊び続けてるだけじゃ未来は無いな。戯言は楽しいが所詮は虚言で狂言で妄言だ。限界だ無限だなんて話はソレこそ何処で話したところで空言なんだろう。意味が無い話をする事にも意味はあるが、それを他人が聞くことに意義は無いんだ」

「要するに、早く本題に入れって事ですね」

「手厳しいな。あぁ全くその通りだ。空言をありがたがって聞く人間などそうそう居る訳が無い。仮令、そんな酔狂な奴が居た所でそいつが都合よく空言師の前にいるとも限らない。その空言に気づくかどうかも解らない。つまりはこんな虚言を弄したところで人は集まらないって訳さ」

「なるほど……じゃなくて、本題に入ってないんですけど……」

「なんとまぁ困った話だ。……まぁ頑張って本題に入ろうとしよう。語るべきことだけを語ることの難しさよ。それが最善であるかどうかも解らずに」

「少なくとも読者からすれば脇道に逸れまくるよりはそうあって欲しいですよね」

「人間の活動というものはさ、何処までが理性的なものなんだと思う?」

「え? さぁ、食う寝る遊ぶ、以外のことなら大体理性的なんじゃないですか?」

「さぁて、それこそどうかな。食う寝る遊ぶ以外のことは全て理性でこなされているって? 冗談を言うな。大体人間の活動のほぼ全てが食う寝る遊ぶに関係する事じゃないか。自分が今日一日でやった事を回想してみな。それの何処に“食うためにやった事”“遊ぶためにやった事”“寝るためにやった事”以外の事があるというのさ?」

「…………でも、じゃあ、もっとこう、考えて、頭を使った事をしていれば、それが理性的なことなんじゃないですか? 例え食う為にやっている仕事だとしても、それは十分に理性的でありえます。むしろ高度な事やってればそれは十二分に理性的でしょう?」

「十二分に理性的である、か。……俺にはどうにもそれが信じられない。人間って云うのはさ、この身体に、脳に縛られた生き物なんだ。お前の行動は全てお前の身体と脳によって規定されている。お前は、その肉体と脳髄が望む以上の事を為し得ない。もしそんな事が在ると言うのならば、それは既に超常現象だ」

「超常現象とまで云いますか──?」

「これは単純なトートロジー、同語反復だ。お前の脳の限界がお前の思考の限界である。ネコの限界がネコの限界であるといっているのと変わらない。もし仮にお前がお前の脳が想起し得る以上の思考を得たならば、それは何かしら外部からの力場がお前に加わったとみるしかない。つまり、魂や心霊や“何か”が自分の外側からエネルギーをお前に与えた、という事になるだろう? 」

「────まぁ、自分の身体、というか、それが限界なのは解るんですけどね……それがどう理性的でないことになるんですか?」

「ほぼ全ての人間の活動は、“肉体に縛られたモノ”だ。人間は結局のところ、生きる為、楽しむ為に生きているに過ぎない。それによって行われる活動の何処までが動物的な欲求で無いというのさ。何処まで高度だろうとその目的が欲求的な行為ならば、それは動物的反応であって理性的なものじゃないだろ?」

「さぁ……高度な思考活動などはやっぱり理性的だと私は思いますが……」

「そりゃ本当に高度な思考活動なら理性的であると云えないこともあるまい。だがね、“多少それが高度である”というだけでそれが完璧に理性的なモノであるとは全く云えないんだよ。人間の行動や思考は、ほぼ全てが無意識の内に為される事であるならば、やはりそれはなお更、動物的であるとおれは思う……」

「ほぼ全て無意識……で行われているんですか? 色んな事が?」

「飯を食うことも料理をする事も通勤する事もゲームをする事も、ネットをする事も動画を探す事も本を読むことも話をする事も文章を書くことも────あぁそうなんだ、それが本当に意識的に行われていないならば、それはほとんどが無意識の領域で行われているただの形式的な処理活動に過ぎない。ただ淡々とこなせる日常なら、それはほぼ全てが無意識下のものであると考えて差し支えない」

「そんな、……そんなに私、夢遊病的じゃないですよ?」

「無意識で生きる事と、夢遊的である事は全く違うよ。起きている限り、人間はその脳を活動させ、自己をその時々で認識し、その時々でするべきを事を理解して、その時々で手段を選んで、実行に移している。ただ、認識から手段に至るまでの時間というものは本当にわずかだ。そして大半の時間はただ事象の“実行”にのみ注がれている。そして、その実行の時間にこそ“無意識”が台頭しているんだ」

「はぁ……つまり、何かをやろうと思うまでが意識的で、その後はほぼ全て無意識って事ですか?」

「大体そうなる。どだい、無意識でやってる事を理性的などと俺は云いたくないな。例えそれがどれほど高度な技術を要そうとも、それが無意識的な技術である限り、それは“この理性”的では無いんだ」

「理性ではなくても……人間的じゃないですか」

「理性で無いなら……動物的さ。動物だって時におり、高度な事をなしているじゃないか。人間が驚くような行動を、集団で行う生物だっている。蟻が巨大な巣を作るのも、蜂が餌場の情報を伝達するのも、十分に高度じゃないか。でも、そんなものは動物的な能力に過ぎない。動物は本来、そういった意味で特化した高い能力をそれぞれが持っている」

「じゃあ、人間だって変わらない、というんですか?」

「人間だって変わらないさ。人間は無意識下でも高度な事を行えるぐらい、優れた生物だ。外敵を見つけ出し、道具を使い、住まいを作り、種を撒き、集団で狩にも出かける。音楽を口ずさみ、絵を描き、遊びまわる事ができる。それら全てを無意識でこなせる。なんという高度な生物だろう。直立二足歩行の奇跡だ。今まで生物が為し得なかった多方面への能力特化。その進化の最終形態がこの人類だ」

「……凄い話、なんじゃないですか?」

「生物的に云えば、動物の世界では、ただの生命としては素晴らしいんだろう。……だがね、人間はいつしか意識を持ったんだ。この意識を、理性を、倫理を、合理を、概念を、文化を、素晴らしい世界をその脳内に築き、地球に再現してきた。それでも、いや、それだからこそ、人間のこの動物臭さが俺には赦せない。

────食う寝る遊ぶ為に、その為に人生の大半を消費する事が赦せないんだ」

「そんな事は、知った事じゃありませんよ。それに、それだけでも十分に人間的じゃないですか。人間臭いって意味じゃないですよ、十分に文化的で高度な生活を送ってるんだからいいじゃないですか。食う寝る遊ぶ為に、技術の無駄遣いをする事ができるじゃないですか。それって、本当に、素晴らしい事なんじゃないですか?」

「食う寝る遊ぶ以外で、人生を使う事をまるで無意味に扱う、この世界が俺は好きになれない。食う寝る遊ぶ為に高度な事でも為している人間はそれで十分素晴らしいなど……そんなものは自己の正当化に過ぎない。そんな生活をしている自分を、それでも自分は十二分に高度な人類に位置していると、安住しているんだ。自分の今の生き方は間違っていないと、ただ云いたいだけなんだ」

「それのなにが、悪いのかって事ですよ」

「何故ならそれは……動物的だからさ。Animalize Human、動物化する人間よ! その動物的な欲求にしたがってお前は何を為すというのか。その動物的なまでの浅はかさによって、何に成るというのか。その理性は何を求めているのか。自己を正当化するような理性は、既に“動物化した理性”に過ぎない」

「動物化した理性、……ねぇ」

「己の欲求に飼いならされた理性よ。お前は既に人間ではなく動物だ。動物的に思考する、動物的に無意識な、動物的な人間に過ぎない! 己に反抗しろ、己を打ち破れ、己を否定しろ、己を疑え、己を信じるな、己の中に生まれた要求は、自己の肉体が生み出した動物的な欲求だ! 己が肉体に縛られる限り、その理性は常に動物化の危険に晒されている」

「そんな……」

「あらゆる無意識の内に起こる想起は総て動物的な反応だ。欲求も、恐怖も、感情も、なにもかも、それが無意識的であるならば、それは動物的な反射活動だ。それが感情であり、激情であるならば、それこそが理性の敵である。己の中の動物を殺せ、感情を殺せ、激情を砕け、愛すらも動物的だ。そんなものを得て救われるのは、動物的な己に過ぎない。動物が自己の欲求にしたがって自分を満足させているに過ぎない」

「…………でも、それが当たり前の世の中なんですよ。生きるために必要なのは自分を疑う事などではなく、仕事をする事です。お腹がすいた事をグダグダ考えるより、ご飯を食べるために行動した方が結局は自分のためです。あなたがあなたとして、人間である以上、あなたは人間的に動物的に生きなければならないんですよ」

「────解っているさ。俺も所詮は動物の延長に過ぎない。生きる為にどれだけの時間を動物的に過ごしてきたか知れない。でもだからこそ、俺はそうありたくは無いんだ。この理性を尊重したい。動物的でなどありたくは無い。人間として生まれた以上、人間として最大限“人間的に”生きたいんだ」

「あなたは、人間じゃないんですか?」


「俺は、まだまだただの動物に過ぎない」


「人類は、人間じゃないんですか?」


「人類も、まだまだただの動物に過ぎない」


「貴方が求める“人間”とは一体何なんですか?」


「俺が希求するその“人間性”とは──


────肉体の欲求を総て排した上で残る、純粋理性の持ち主さ」


「それは神です」


「じゃあ、神になれよ。それが理性を持った、この人間の使命だろ」


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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

趣味/
 「読書」
 「音楽鑑賞」
 「妄想」

座右/
 「初心忘れるべからず」
 「思い立ったが吉日」
 「継続は力なり」

口癖/
 「結局は程度問題」
 「時と場合に因る」
 「何事も経験」

欠点/
 「すべて狂言、、、、、

 
『他ならぬ、他人の為に』
『それはつまり、因果のように』
『世はなべて殊もなく』
コミックス・コード
『爆発的情報進化 Meme Explosion』
『Fight and Flight』
『重力の中』
『ロストリモート』
『あんちのみ?』
『日常机上』
『頭蓋骨と頭痛の間で益体も無い話』
『都市なる伝説 Netlore』
『感情と、機械の生物 nothing but ism』
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