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『逆説的自己嫌悪 Paradoxical Suggestion』

「自己嫌悪という感情は、ある意味で、逆説的な意味での、自己愛なのだそうだ」

「……はぁ──それはどういう意味で?」

「さぁ、どういう意味なんだろうね。……考えてみろよ、たまには自分の頭でさ」

「珍しく投げやりですね。なんかいい事でもあったんですか?」

「いい事があると人生投げやりになるのかい? だとしたら良いことなんか無いほうがいいな。人生は悲しみと苦しみで出来ていて、きっと救われるまで報われない。死ってのは最大の救いなのかな」

「死んで救われるなんて、生きている意味が無いですね」

「なるほど、それもそうだ。だが、もしこの世界が苦しみで満ちているならば、産まれなければならなかった事そのものが産まれた人間に対する罰なんだなぁ。お前が生まれてきたのは、お前が罪深いからだ。さぁ、生きて贖い、死んで報われよ。お前の生と死は神への献身のためだけに存在する」

「無駄な事云ってないで教えてくださいよ、自己嫌悪の意味を」

「自己嫌悪が自己愛の裏返しであるというのは、いまいち理解しがたい話だ。そうだろう? それは不幸のヒロイン願望とも違う。不幸である事に逆の意味で酔いしれるヒロイン願望は、あくまでも自己ではなく周りの環境を劣悪なものとして、自己を正当化することだ」

「自己嫌悪は違うんですか?」

「自己嫌悪は、環境ではなく、自己そのものを劣悪なものと考える。悪いのは周囲であり、自分は純粋で美しい存在なのだと暗示する事で心酔する感情が『不幸のヒロイン』願望なのだとするならば──自己嫌悪はその真逆の感情と考えることが出来るだろう」

「つまり、周りが純粋で美しく……自分は醜い存在だと考える事、ですか?」

「その通り。自己を徹底的に醜いものだと考える事……相対的に、その周囲は綺麗なものだと考える事。しかし、そう考えると一つ筋が通らないことがある」

「自己嫌悪が自己愛の変形である、って所ですね」

「そうだ。薄幸のヒロイン願望は、周囲を否定する事で逆に自己を肯定する。自分を正当化することが自己愛であるというのならば、それはまさしくナルシスの延長線だ。……だが、自己嫌悪には自己を正当化するシステムは存在しない──寧ろ自分自身を徹底的に否定するシステムだ」

「じゃあ、自己嫌悪はやっぱり自己愛とは逆の感情なのでは?」

「ところが、そうではないという人が居るんだな──。さて、あんたはどう思う? 自己嫌悪は自己愛か否か……簡単な問題だぜ?」

「じゃあ自己嫌悪は自己愛ってことで一つ」

「まるで考えて無いような返答をするな、面白く無いぞ」

「でも自己嫌悪って自己の否定なんですよね……それがどうして自己愛になるんですか?」

「それを考えろって云ってるんじゃないかだらず。脳みそ使わないならお前はなんで人間なんかしているんだ、蟻にでもなってしまえ」

「今酷い傷つきました。賠償を要求します」

「人間が蟻んこに賠償する義務はありません。残念でした。……さて、話を戻そう。自己嫌悪が自己愛であることの証明だ。──でもこれ実はあまり考える必要も無いんだよな……」

「そうなんですか?」

「自分で言うのもなんだが、拍子抜けだ。なーんだって感じで面白くも無い。俺がわざわざもったいぶって云う必要が無いぐらいに大したことが無い」

「まぁあなたが話す話の大半が大したことはありませんけれどね」

「帰って寝るかな……」

「ちょ、ま……ふて腐れんなこの程度で」

「あーあー、全く面白く無いなぁ。なんで俺はこんな意味の無いことをしているんだろう。あぁ死にたい死にたい死んでしまいたい。俺なんか生きてても仕方が無い生命体なんだ。なんの意味も無いに違いない。俺の言葉のどこに意味があるんだ。俺の存在のどこになんの価値があるんだ。あぁ全く冗談じゃない。客観的にみて生きてる意義が無いなら死んでいたってなんの違いも無いのに……」

「なんという自己嫌悪……で、そういった思考がどうして自己愛になるのですか?」

「簡単に云ってしまうならばそれは──『孤高のヒーロー願望』」

「孤高の……ヒーロー、ですか?」

「ヒロインの反対さ。不幸のヒロインが自己愛であるならば、孤高のヒーローも自己愛だ。当然だろう? 自己嫌悪はヒーロー願望と近いものがある」

「自己嫌悪とヒーローってあまり結びつかないんですが……」

「考えてみよう。自己を否定するというのは、相対的な周囲の肯定だ。だが、そこに在るのは往々にして弱者の怨嗟、“ルサンチマン”に他ならない」

「ルサンチマン──」

「自分の考えは間違っていない。だけれどもそれが周囲に受け入れられることは無い。そして社会も悪くは無い。“社会に馴染めない”自分が悪いのだ。自分が悪いんだ。それは解る。社会は正しい。自分が悪い。そしてそんな自分が嫌いだ。嫌いなんだ。自分らしくありたいけれど、そうある事は罪なんだ。……ならば、悪いのは誰だ。俺か、社会か。自分は孤独だ。それ故に“孤高”だ。────さぁ、自己嫌悪に酔いしれよう。それは痛みを伴う極上の美酒だ」

「うわぁ……痛い。いろんな意味で」

「自己嫌悪は周囲を肯定しつつも、そこに在るのは諦観か、あるいは怒りの感情だ。“自分は駄目な人間だ”と考える自己嫌悪の大本は、実際のところ自己正当化が逆転した結果に過ぎない」

「自己正当化の逆転とな?」

「可愛さあまって憎さ百倍……ま、云ってしまえばそんな所だ。自分の事がどうしても好きだからこそ、色いろな意味で報われない自分を“口先だけで”否定しているに過ぎない。悪いのは自分だといいつつ、本当のところは世界に対して憤っているんだ」

「自己嫌悪が口先だけの否定だというんですか? ──あまりそうは思えないんですけど。むしろ彼らは、“本気で”自分を否定しているように思うんですが」

「それが自己愛のなせる業、なんだろ? 自分の事をどういう感情で正当化しているのか、それを“知っていては”ならないんだ。自分を愛するって云う事はね、それぐらいの暗示が必要なんだよ。『自分で理解していないからこそ、それは本当の感情になる』んだ」

「……よく解りませんが──」

「感情ってのは感情なのさ。それは理論じゃないんだ。感動も感傷も感情も、すべて理屈があって成立するもんじゃないんだよ。……いや、違うな。“理屈があってはいけないんだ”。それは心の中で存在しないことになる。理屈を知った瞬間、人間は感情を素直に受け止めることが出来なくなる」

「あぁ、それはなんとなく解るかもしれません……」

「愛に理屈が無いように、“愛に理屈を付けちゃいけない”んだよ。理屈のある愛は、感情の否定であり、感情的であることの意味を消し去る。自分を暗示にかけることで大半の人間は自分の感情を正当化している。まるでまるで、催眠に掛かったようなこの社会でさ!」

「自己嫌悪が自己暗示による自己愛の裏返しなら……、なんでそれで死ぬ人が出てくるんですか──?」

「愛ゆえに死を選ぶのとなんら違いは無いだろ。人間の感情は自己保存を優先するシステムじゃない。自己を正当化するだけのシステムだ。だから、死にたがりは死ぬための理由を自分の中で正当化して、それ故に死に至る。感情を手に入れた人間は、その激情の所為で高みにも上れば死にも至る。ただそれだけの話なのさ」

「…………愛ゆえに、ですか──」

「愛ゆえに、自己をすり減らし犠牲にする姿は美しいだろ?」


「でもそれも、自己愛の一種ですか?」


「みんな自分が大好きだ。感情なんて、そんなもんだ」


「それは、とても悲しい考えですよ」


「それが、とても論理的な考えなんだよ」


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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

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 「読書」
 「音楽鑑賞」
 「妄想」

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 「継続は力なり」

口癖/
 「結局は程度問題」
 「時と場合に因る」
 「何事も経験」

欠点/
 「すべて狂言、、、、、

 
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