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『シュレディンガーの自己 Schrodinger's Egg』

「さて、ついでだからシュレディンガーの猫の思考実験について簡単にまとめておくか」

「ってあれ、もうあまり意味のある話じゃないような気もするのですが……というかそもそもマクロとかミクロとか、よくわからないんですよ……」

「詳しくは前回更新分の『量子力学についてまとめ』を参照してくれ。簡単にいえば、量子力学においては粒子は様々な状態が「重なりあった状態」で存在し、観測機器によって粒子を観測する事でいずれかの状態に収縮すると考えるのだが、それが如何に奇妙な状態なのかをマクロな視点で解釈したものだ」

「イミフですね」

「つまり、Aの状態とBの状態が重ねあわせで存在していると解釈するのが量子力学で、Aの状態かBの状態、“どちらかに決定している”とは考えない事の奇妙さだ」

「はぁ……それがどうしてシュレディンガーの猫になるんですか?」

「単純に云えば、箱の中にそういった装置を入れ、その装置の作動を量子力学的に決定させる。そして、その決定によって中の猫の生き死にを決めることで、結果的に猫の生死が量子力学的な状態になるという事だ量子力学的状態、つまり重ね合わせになるという訳さ」

「はぁ……猫の生き死にが重ね合わせ、ですか」

「そう。コペンハーゲン解釈を適用するならば、猫は死んでいるわけでも生きているわけでもなく、その間の状態で揺らいでいるんだ。……しかしコレは実に奇妙な話だ。古典力学的解釈、その認識に慣れた人間からすると、その確立的なゆらぎの状態というものを全く理解できない」

「まぁそうですよねぇ。普通なら、在るか無いか、必ずどちらかに決定しているものですから……“決まっていないという状態”という状態が異常に感じられます」

「そうだな。そしておれ自身も、その確定していない状態という解釈には違和感を感じる。現実問題、本当のところを人間が知ることはまだ出来ないにしても、その解釈には納得がいかない」

「ま、あなたの認識には興味が無いんですけどね。シュレディンガーの猫がどうなのか私は知りたいだけで」

「さて、じゃあ考えてみよう。シュレディンガーの猫。この猫は一体中でどのような状態になっているのだろうか。この猫は一時間後、箱の中で死んでいるのか生きているのか。はたまた重ね合わせで存在しているのかどうか……どうだと思う?」

「え…………これってなんかどう考えても負けのような気が──」

「普通に考えれば良いじゃないか。猫はどうなっているのかなーっと……」

「じゃあ、あの多世界解釈って奴で一つ──」

「あれはあれで面白いとは思うが、あまりにも突拍子が無いというか、やり過ぎというかSF、というか……そもそもそれは調べようが無いという意味で、全く考える意味の無い解釈だろ? そもそもあれって微妙なんだよな……例えば、同時に『二つの世界に分裂』する事象が起きたとき、その世界はその瞬間、幾つに分裂するんだろうな」

「は? 4つじゃないんですか?」

「さぁ、物理的にそれが同時に起きる事はありえるのかな。もしかしたら一瞬だけでもずれていて、世界は8つに分裂するのかも知れないぜ」

「……でも結果から見れば4つの世界ですよね?」

「現象そのものが前後入れ替わっているならば、それはもはや因果律的に別々の世界だろ……ま、あまり考えても仕方の無い問題だ。無限に増え続ける世界か、それとも分裂しては結合を繰り返す世界なのか。どちらにせよ我々には観測できない向こう側の世界の話さ」

「考えるだけ無駄ですか」

「その通り……さて。問題に戻ろう。箱を空けるまでの間、猫がどうなっていたのかを我々が知る手段はないと思うか? 猫が生きているのか、死んでいるのか、はたまた重ね合わせで存在していたのか……答えは簡単。猫の代わりに人間を装置の中に突っ込めば良いのさ」

「……え。人間を猫の代わりに突っ込むんですか? 運が悪かったら死んじゃいますよ?」

「思考実験に死ぬも何も無いがね。それはそうと此処に一つの実験が誕生した。シュレディンガーの人間だ。実験概要はシュレディンガーの猫と同じ。人間になっただけ。さぁ、実験開始だ。一時間後、人間はどうなっていると思う?」

「生きているか死んでいるかのどちらかです」

「正解。さぁて、じゃあ生きて生還した彼に一つの質問をしてみよう。『あなたは生と死の重ね合わせの状態を体験できましたか?』」

「……えーっと、出来てるわけが無いと思うのですが──」

「そうだ、それが恐らく正解なのだろう。箱の中に居た彼は猫のように生と死の重ね合わせを体験する事は無い。そんな状態は存在しないんだ。勿論、もともと猫にもそんな状態は存在しない。箱の中の彼らは、常に、生きているか死んでいるかのどちらかだ」

「じゃあ、量子が重ね合わさった状態で存在するという解釈は間違いなんですか?」

「恐らく、俺自身は間違いなくと考えるが、間違いだ。重ね合わせという事はなく、常にいずれかの状態に決定しているはずだ。ミクロな世界の解釈に当てはまるとはないだろうとはいえ……マクロな世界で我々が重なり合って存在するという奇妙な事象は存在し無いだろう」

「多世界解釈みたいなもんですか?」

「そんな風に解釈する必要も無いだろう。量子の振る舞いを決定できないのは現行科学が発展途上だからだとおれは思う。……ま、とは言えもとから意味が解らない世界の話だ。俺如きが納得いかないといってもあまり意味は無いんだろう」

「でも、もしかしたら死んだ方の人間は生と死の重ね合わせを体験しているかもしれませんよね。死んだらその経験を聞くことができないんですから」

「そんな事は全く無いのだけれどな。それならば、毒ガスの代わりに電気ショックを流すように改良しよう。さて、実験終了後、彼に聞く。『あなたは電気ショックを受けた状態と受けなかった状態の重ね合わせを経験しましたか?』」

「意味が解りませんね」

「勿論、彼はどちらかの状態しか経験しえず、重ね合わせを体験する事は無い。多世界解釈的にはそれでもなんら問題は無いのだろうが、そんな事をしなくてもそもそもなんら問題は無い」

「あなたがどこで引っかかっているのかも私には理解できませんよ」

「おれ自身も、どう云ったものか考えあぐねているのさ。なんというか、掴みどころが無い話なんだなぁ。なんとももどかしい限りさ。……ま、そもそも“重ね合わせの状態”という解釈そのものが全くただの妥協なんだよ。そうしておきましょう程度の話なんだ。そうしておいてもとりあえずなんら現実的には問題は無いし不都合は無い。だから、うん、つまりそういうことなんだ」

「わっかんね」

「さて、そもそも重ね合わせが収縮するのはいつだろうか。観測した瞬間? それともその前? この実験で云えば箱を空ける瞬間? それとも中の猫が死んだ瞬間? それともそのずっと前?」

「……で、結局いつなんですか?」

「さぁ、それは俺には解らない。神のみぞ知るんじゃないか? つってもそれってただの確率の問題なんだけどな。……でもま、結果的にどこで収縮するのかはわかっている」

「はぁ……?」

「装置の中の実験機器が観測した瞬間には、少なくとも決定している。そうだろう? 箱を開けるまでもなく、もう既に箱の中は決定しているはずだ。猫の生死はもうそこで決している。箱を開けるまで中身がどうなっているのかを我々が知ることが出来ないのは、そういう前提だからしょうがない」

「はぁ……まぁつまりあれですね、あなたは最終的にも古典力学的な世界を信じているんですね」

「それはちょっと違うかもしれないけどな。神はサイコロを振るかもしれないが、少なくとも我々は重ね合わせの世界を見ることは永遠に無いだろうというだけの話だ」

「それはつまり、そんなものは存在しないから?」

「存在しないから」

「でも量子力学自体は正しいんですよね。電子のスーパーポジションとか、量子コンピュータとか、トンネル効果とか……」

「意外と色いろな単語がお前の口から出てきた事に驚いた。まぁその辺は正しいんだろう。電子が極薄い絶縁膜をポーンと飛び越える事もあるだろうさ。ミクロの世界は常識じゃ測れないからな。……ただ単に、猫が重ね合わせの状態を取ることはないと、俺はそう考えるだけさ」

「その根拠は……」

「だから云っただろ。箱をあけなければ観測した事にならないのか? 中に居る人間が何かを観測するまで収縮しないのか? 違うだろう? 『箱の中にある実験装置が“それ”を検出した瞬間が観測した瞬間なんだ』。観測ってのはなにも人間の目に映ることだけじゃないん。むしろそれこそ客観的な事実としてみる事ができる。量子力学に人間なんか不要なんだよ」

「あぁ、それは確かに……」

「重ね合わせの問題は確率の問題に過ぎず、確率を曖昧に扱うから重ね合わさるんだ。猫の生死が重なり合う事はなく、ただ確率で決まっているだけだ。重ね合わせなんてものは未完成の理論を無理やりこじつけているだけさ。少なくとも俺にはそうとしか思えないね。……というか、俺が云うまでもなくこんな問題にはある程度の蹴りがもうついているんだろうがね」

「でもやっぱりなんか意味が解らないんですよネェ……」


「重力や相対性理論や超弦理論や大統一理論とかM理論とか、まだまだ問題が山積しているの世界で、今ある解釈が正しいなんて考えられる方が俺には不思議でならないがね。もしパラドックスがあるとすれば、それは人間の理解が世界の真実に追いついていないだけの話なのさ」


「あぁ、頭が痛くなってきました……訳が解りません」


「それが量子力学。不確定性原理の為せる業さ」


「なんというか、よく解らない話ですネ」


「それは人間の不完全性定理、それ故だ」


「ますます、イミフですヨ」



……

もっと詳しく他の説を知りたい人はこういうところを見ると幸せになれるかも
→シュレーディンガーの猫の核心


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― 燈宮 仮月 ―
Hinomiya Kaduki

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座右/
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